日本人に聞いたワインのおつまみから見えてくるもの
日本人の舌というのは、保守的なようで時代に応じて変化していきます。例えば、今は寿司の高級ネタである鮪のトロは、江戸時代にはあまり人気がなかったのだとか。
最近で言うと、タイ料理で言う「パクチー」、中華料理で言う「香菜」は、ちょっと前まではその臭いが苦手という人が多かったのに、今では好きだという日本人が増えているようです。
味覚の変化に「慣れ」というのは大切なようですね。
チーズというのは、ヨーロッパの食文化ではワインとともに非常に重要な地位を占めるものです。ヨーロッパでは、国によっても、また同じ国でも地域によって、チーズの種類は多種多様。
日本の味噌が地域によって違うどころの話ではありません。そのバラエティーの豊富さは、そのまま歴史の古さを物語っています。
最近は日本でもだいぶワインが広まってきており、それに従って、チーズを好む人も増えているようです。ワインのつまみについて調べたあるネットのアンケートによると、75%の人がチーズと答えました。
ただ、回答者の意見に多かったのはチーズを合わせると「高級感」があるというもの。つまり、現状ではまだ日本人にありがちな「形から入る」ためにチーズを選んでいる人が多いということが読み取れます。
雪印メグミルクが行ったアンケートでは、「一番好きなチーズ」の1位はモッツァレラチーズでした。2位は裂けるチーズで3位はカマンベールチーズです。
つまり、日本人はまだまだ「食べやすくクセがないチーズ」が好きなのです。
この3位以外で選ばれたものも、マスカルポーネやゴーダチーズ、チェダーチーズなどくせがないものが多数。プロセスチーズなどというものまで入っています。
クセがありそうなものはわずかにゴルゴンゾーラだけ。それも「そういう回答もあった」ということであり、多数派ではないでしょう。
ワインも広まったとはいってもよく飲まれるのは安くて甘くて飲み口がいいものが多数です。
クセがないチーズとクセがないワインの組み合わせはいかにも日本人らしい。ただ、そこに飽きたらず、もっと複雑なワイン、もっとクセがあるチーズを求める人が出てきていることも確かです。
おそらく今はまだ「慣れ」ている人が少ないのでこういうことになっているのでしょうけれど、「慣れ」た人が増えていけば、日本のワインやチーズの文化もより豊かなものになっていくかもしれません。
まあ、あとはチーズの需要が増えることで、もっと売っている店が増え、値段も安くなってくれればいいのですが・・・。