ワインで気軽に晩酌だっていいじゃない
ワインというのはとても古い歴史を持つお酒です。中東や欧州では紀元前から飲まれており、日本酒よりはるかに伝統があると言ってもいいでしょう。しかし、同じ古い伝統酒である日本酒より、なぜかワインのほうをオシャレだと認識している日本人は多いようで、最近では日本酒の販売数が低迷する反面、ワインの販売数はうなぎのぼりだとか。
そんな需要に応えるため、安価なワインも増えてきました。1本1,000円程度で買えるワインもあって、しかもそれなりに飲める味ということで、若い世代にも人気があります。
しかし、一方で一度ボトルを開けると飲みきれないからとか、度数が強いので休日前にしか飲めないという理由で敬遠する人も多いらしいですね。
ワインはそんなに度数が高いでしょうか?ポートワインやシェリー酒などは20度近くとわりと高め。しかし、普通のワインであれば赤白問わず平均10度~15度程度、これは日本酒と変わりません。今時は減っているようですが、かつては毎晩日本酒で晩酌する日本のお父さんというのは少なくありませんでした。そして、日本酒はだいたい一升瓶です。
一度開けると劣化するということではワインも日本酒も変わらず、度数も同じぐらい。なのに、どうして「毎晩ワインで晩酌」という人は少ないのでしょうか?これはおそらく、単に気にしすぎなのです。例えば、開けたてと一度開けて1周間ほど冷蔵庫に保存しておいたワインの味の違いを本当に感じ取れる人はどれだけいるのでしょうか?
大部分の人は「ワインは一度開けると劣化する」という情報を鵜呑みにしているだけだと思うわけです。
しっかり栓をして冷蔵するだけでもある程度酸化は防げるし、空気を抜ける栓やワイン保存用ガスなどを使えばもっと劣化を防げます。それに、1本数千円という高級ワインならともかく、1本1,000円のワインまでそこまで気にする必要はないのではないでしょうか?毎晩手酌でちびちびワインを飲むというのも悪く無いと思います。
ワインの味自体は好きだけれど、10度程度でもちょときついと感じる場合は、カクテルにしてはどうでしょうか?日本人は妙に「まぜものをするのは邪道!」などと言いたがる人がいますがそんなことはありません。例えばフランスには白ワインにカシスのリキュールを加えた「キール」、オーストリアには同じく白ワインを炭酸水で割った「スプリッツァー」というカクテルがあります。
赤ワインでもジンジャーエールで割った「キティ」やコーラで割った「カリモーチョ」というカクテルがあります。
それでもすっぱくなっちゃったという時には、スパイスを加えて温め、砂糖やハチミツなどを加えて甘くするグリューワイン、つまり日本で言うホットワインにしてみたり、いっそ肉のワイン煮などに使ってしまうという方法もあります。
大量に赤ワインを使ったフランスの伝統料理「牛肉のワイン煮」など、安いワインでもとっても贅沢な味にできます。
なにしろ日本酒以上の歴史を持つ「古い」お酒ですから、その楽しみ方のバリエーションだって日本酒以上にたくさんあります。
カッコつけるためにワインを飲んでいる人以外は、そんな気軽な楽しみ方をしてみるのもいいですよ。
日本の社会にもこれだけワインが普及してきたのですから、巷の「ワイン通」の言説に惑わされず、これからはもっと変に構えずにワインとつきあっていけばいいのではないでしょうか?