ワインをもっと気軽に飲みたいけれど、身構えてしまう人の為の考え方

ワイン文化圏で楽しまれているワインは、原則的に若くて安いもの。古くて高いものは、一部の例外でしかありません。

それは分かっても、やはり高級ワインの素晴らしさを他人から聞かされると、安いワインはそれより質が落ちるみたいだし、舌が慣れてしまっても大丈夫なのか、と不安になります。

ご安心ください、むしろ、高級ワインの本当の素晴らしさを理解する為には、安いワインに舌が慣れてしまった方がいいのです。

ここでひと息入れて、ワインに対する考え方を、もっと別の角度から見てみましょう。

世の中には、星の数ほどワインの種類がありますが、大きく見ると「ポピュラー・ワイン」と「クラッシック・ワイン」の二つに分かれます。もともとは、「クラッシック・ワイン」が最初に生まれた言葉で、ボルドーやブルゴーニュなど、古くから名産地と考えられている地方の高級ワインを指す言葉でした。

とにかく「これぞ優れたワインの理想型」と考えられるような条件を備えているワインがこれに当たります。

そして、「ポピュラー・ワイン」はその後に生まれた言葉で、クラッシックとは対照的に、実際に大衆に広く親しまれている若くて安いワインの事です。クラッシックとポピュラー、なんだか音楽にも似たような分類がある気がしませんか?

クラッシック音楽は、普段ポピュラー音楽に慣れている人達にはちょっと敷居の高い音楽のような気がします。クラッシックを楽しむ為には、自分で何かの楽器をやっていたり、さまざまな演奏を聞き比べていたりなど、普段からかなり音楽を聞き込んでいる必要があります。

これは音楽に限らず、芸術文化一般に言える事なのではないでしょうか。

高度なものであればあるだけ、その複雑さ、精妙さ、深遠さを細部までじっくり鑑賞する為に、特別な環境を整える必要があります。そして鑑賞する側にも、それらを感じ取る事のできる教養=訓練と心構えを要求する、と言えます。

高級ワインの味についても、これと同じ事が言えるのです。

クラッシック・ワインを理解するには、それなりの環境・条件と訓練が必要となってきます。

まず、初めてでは味は分かりません。ベートーヴェンを知らない人が、第九の演奏中にうとうとと眠くなってしまうように、普段からかなりワインを飲み込んでおかないと、クラッシック・ワインの味を楽しむ事は難しいのです。

そしていざ飲む段になっても、クラッシック・ワインを鑑賞する為に、それなりの準備をととのえておく必要があります。

ワインの保存の仕方、注ぎ方、テイスティングの作法、そういった小難しい事を覚えなくては、どんなに高級なワインでも、その真価の全てを発揮してはくれません。

クラッシック・ワインが、このように美を追求する芸術に似ているのに対して、ポピュラー・ワインは、理屈や訓練抜きで、人の心に呼びかけてくる、おいしさと楽しさを備えています。アルコールで精神の緊張を解き、そこに新鮮さとフルーティさという、誰でも受け入れることの出来るパンチの効いた美味しさを備え、万人の味覚に訴えかけるのが、ポピュラー・ワインです。

クラッシック・ワインの本当の良さを理解するには、まずは一般的なフランス人並には、ポピュラー・ワインを良く飲み込んでいなければならない、と言う人もいます。

今日、私たちがクラッシックと呼ぶ古典的なオペラやウィーン・ワルツなどは、生まれた当時は大衆が楽しむ為に作曲された、ポピュラー音楽のひとつでした。

これもワインとよく似た特徴です。

変わったのは、音楽の洗練度、精妙さ、そういったものでしかなく、よく見ると同じひと続きの文化なのです。

ポピュラー・ワインとクラッシック・ワイン、飲むならば、どちらかで無ければ駄目だ、という事は決してありません。

気軽なポピュラーでは物足りなくなった人は真面目なクラッシックへ。真面目なクラッシックで肩が凝った人は気軽なポピュラーへ。

そのくらいの自由さで楽しめばいいのです。身構えることなく、自由にワインの世界を楽しんでみましょう。

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