ワインの味の生まれかた
ワインの原料といえば、100%ブドウです。
簡単に言えば、果皮や種の成分や天然酵母を抽出しながら、果汁を発酵させて造る飲み物がワイン。
しかし、ワインの成分の中には、もともとブドウが持っている成分と、醸造過程においてブドウ以外のものから生み出される成分とがあり、それがワインの味をさらに複雑で楽しいものにしてくれています。
「ワインの成分」といえば、多くの人がまず思い浮かべるのが、渋味成分ポリフェノールでしょう。
ポリフェノール類は、ブドウの果皮や種にもともと含まれているもので、主に赤ワインの渋味や色を決定している重要な成分です。
かつての赤ワインブームの時に注目された成分で、心臓病の予防などに有効とされ、よく知られています。
ワインの味の大体を占める成分が果汁由来のもので、水分と、甘味の元である糖分、そして酸味の要素である有機酸でできています。
それに先ほどの渋味の要素ポリフェノール類に加え、香りを構成する香気成分がいくつか含まれています。
香気成分のほとんどは、発酵や熟成の最中に生まれます。多くの香気成分が混ざり合うほどすばらしい香りになり、ボリュームを意味するボディ感が生まれます。
ブドウ由来成分である有機酸も、このときにただの果汁の味から劇的に変化しています。
有機酸のひとつ、リンゴ酸はマロラクティック発酵(二次発酵)を経ていくことによって乳酸に変化します。最初は刺すようにシャープだった酸味が、熟成するにつれて、徐々にまろやかになってゆきます。
お酒の主成分であるアルコールもこのときに生まれます。
果汁に含まれていた糖分の多くは、発酵によって分解され、アルコールに変化してゆきます。
すべての糖分が分解されると辛口のワインに、また一部の糖分が分解されずに残ると、甘口のワインになります。
ボトルごとに味わいが大きく変わるワインですが、それはブドウ由来の成分と、熟成によって生まれる成分、その量の僅かな違いや微妙なバランスによるものなのです。