ワインの印象を左右する後味や香りの余韻
ワインの外観、香り、そして味を順に分析してゆき、最後にチェックするのが、ワインの余韻です。
余韻は、ワインを飲み込んだ後に口中に残る味わいや、鼻に残る香りの事です。これらの余韻がしっかりと感じられるワインは、印象的なすばらしいワインとなります。
余韻を感じるときに注目するのは、残る香りや、残る味わいだけでなく、余韻の強さと長さもチェックする対象となります。
余韻の強さは、口中に残る香りや味わいの強さを、他のワインと比較してチェックします。
長さは、どのくらい長く味わいが残り続けるかで、実際に飲み込んでから味が消えるまでの秒数をかぞえることで、簡単に比較ができます。
一般的には、温暖な産地のワインほど余韻が強く、長いとされています。
これは、温暖な産地ではブドウの発育が活発になり、蓄積する糖分の量が多くなるためであったり、また醸造方法も特殊で、痛みにくくするために、アルコールを加えて作ったもの、いわゆる酒精強化ワインが生産されているためであったりします。
余韻が強く、長いワインは、味や香りの成分を多分に含んでおり、ブドウエキスが豊富である他に、樽熟成しているワインの場合は、樽香が強く残ることがあります。
しかし、ブドウ本来の持ち味である酸味が強いワインは、余韻が短くなる傾向にあります。いわゆる「キレがよい」味わいが多くなるのです。余韻に残る香りと味わいは、お互いにわりと関係性を持っているものが多いのが特徴です。
「ベリー系の香りと果実味の余韻」、「熟成感のある落ち着いた余韻」などと、香りと味を余韻で一括りに表現することができます。
多くの場合、テイスティングの時に見つけたのと同じ香りや味わいが残りますが、まれに飲み込んだ後にだけふわりと現れる香りもありますので、それも意識して飲んでみるといいでしょう。
余韻は、テイスティングでチェックしてきた外観・香り・味わいについてくる、ただのおまけのようなものではありません。最後にワインの印象を決める、とても重要な要素です。
本格的なテイスティングでは、これらすべての要素を合わせて、どのようなワインかが総合判断されるのです。