渋みと苦みと同時に甘みを感じるワインがありますが、どうしてそのように感じるのですか?
感じる理由としては、そのワインの品質が良いから、もう少し具体的に言えばワイン自体の厚みとタンニンのバランスが絶妙だからだと思います。タンニンが無駄に多過ぎて粗いと、トゲトゲとした刺激を感じます。
これが質の良いタンニンになりますと、トゲトゲの原因だったイガイガの出っ張りが均等になっていて、その小さな凸凹をワインの厚みが穴埋めするのような形になり、さらにボリュームが出てくるのです。
タンニンが良くなく、ワインの厚みだけの場合は、平面的で素っ気ない感じですが、出っ張ったとげの凸凹を穴埋めしただけで、ワインのボリュームも増えた感じがするのです。
そして整地された渋みのわずかな隙間にワインの厚みが入り、ぎっしり詰められると、刺激を感じるはずが、上質のなめらかな生地のような心地良い肌触りに変化しています。まるでシルクのような、またはビロードのようなと形容される表現を体現する感じになるのです。これらは全部渋みとワインの厚み、言い換えれば渋みと甘みの絶妙なバランスから来ているのです。
チョコレートの味わいを例にしてみると、カカオだけではとても苦く食べられたものではありませんが、ココナッツバターや砂糖と一緒にするだけで、カカオの苦みは、甘みと深みを感じる味わいに変化するのです。
これは、コーヒーに砂糖やクリームを入れることにも通じるところがあります。