ワインに適温はあるけれど、こだわりすぎなくてもいいと思う
飲み物には適温があるといいます。お茶やコーヒーを淹れるのに、お湯の温度にこだわる人は多いですね。
台湾には「85度」というコーヒーチェーンがあります。これは「コーヒーは85度のお湯で淹れるのがいちばんおいしい」というこだわりから生まれた店名だそうです。
この前なにかの記事で「烏龍茶は100度のお湯はダメ」という主張を見ました。どこで聞きかじったのか知りませんが、台湾では「100度ではないと香りが出ない」と言われているので嘘っぱちです。
日本茶は75度ぐらいが適温といいますが、これは大雑把すぎ。
玉露などの高級茶はもっと低い50度ぐらいでじっくり出すと甘みが充分に出るし、安い緑茶を75度で淹れると味がぼやけるので、90度ぐらいで淹れたほうがおいしい場合もあります。
人によっては玉露も高めの温度で淹れたほうが好きって人もいるようですが。
お酒にも適温というものはあります。
例えばビールは冷やして飲むものというイメージがあると思われますが、それは日本人にとってビールは「とりあえず」飲むものであって、味や香りを楽しむものではないからです。
もっとも、日本でつくられているビールのほとんどは、冷やして飲むことに適したピルスナーなので、問題ありません。
ヨーロッパなどでは、ビールでも種類によって冷やすものと常温で飲むものがあります。常温といってもヨーロッパの常温なので20度前後です。
「麦酒」という意味で言うならば、ヨーロッパでは紀元前から飲まれているお酒なので、日本とは歴史的な深みが違います。
歴史的な深みということで言うならば、日本ではもちろん日本酒のほうが深い文化を持っています。
マンガ『もやしもん』で見た知識を受け売りすると、江戸時代ごろは酒屋さんによってお酒をブレンドし、そのお店なりの個性がある清酒を売っていたそうですね。
それは、現代の大企業が小さい酒造のお酒を買い上げて一緒くたにまぜているのとは趣が違う文化です。
最近のオサレ酒場では、お高い吟醸酒を冷やして飲むのが流行っているようですが、純米酒などは常温で飲んだほうが甘さや米の味を楽しめると思います。お燗すると香りが引き立つお酒もあります。
ワイン関連の記事を読むと、したり顔で「赤は常温が適温」なんて書いてある場合があります。でも、これもビールと同じで、ここで言う「常温」は「ヨーロッパでの常温」ですから、冬ならともかく日本の暑い夏の「常温」では高すぎます。
赤ワインとシャンパンなどスパークリングワインの適温はおおよそ18度ぐらい。一方白ワインはもうちょっと低めの15度ぐらいがいいようです。
とはいえ、こういう温度はあくまで「目安」ですから、必死に温度計ではかってまで従う必要はありません。
もっとぬるい赤ワインのほうが甘さが強く感じて好きという人もいるでしょうし、そこらへんは個人の好みによって変えていいと思います。
目的は「ルールを守る」ことではなく「おいしく飲む」ことですから。