「ヴィンテージチャート」はどこまで参考にすればいい?
ヴィンテージチャートとは、ブドウの生産地区、収穫された年によって善し悪しを評価し、点数や星の数に表したものです。ワインメーカーやレストラン、ワインショップ、ワイン好きの団体・個人に至るまで、それぞれが調査結果を発表しています。
そもそも、フランスやドイツなど、天候が不安定な地域では、その年によってブドウの出来に差が出てしまうのは当然のことです。そのためブドウ栽培家の方たちは、どのような悪条件であっても出来のいいブドウを栽培しようと様々な努力を重ねています。
その結果、一般的には「ワイン不作の年」と言われる年であっても、美味しいワインを造っているシャトーやドメーヌ(ワイン生産者)は沢山存在します。
また、悪天候によって、逆に質のいいブドウが栽培できたという例もあります。
あるブドウ栽培農家によると、強風被害に見舞われ、大切に育てていたブドウの3分の1が落ちてしまうといった不幸があったのですが、逆にそのことにより「間引き」が行われ、風通しがよくなったお陰でブドウの病気の心配がなくなり、結果的に良いブドウが収穫できたそうです。
つまりは、ヴィンテージチャートの評価だけで、全てのワインの善し悪しを判断することはできない、ということです。
もちろん、その年の傾向を知るという意味では、多いに参考にしてもいいのでしょうが、あくまでも「おおまかな傾向」として心に留めておくのが良さそうです。
ちょっと余談になりますが、ブドウの出来が悪いとされる年を「オフヴィンテージ」と呼びます。その呼び名から「ワイン=投機目的」という、あまり歓迎できないイメージが呼び起こされるので、あまり好んで使用したくはないのですが・・・。
「オフヴィンテージ」であっても、ブドウ栽培農家は、どうすればより美味しいブドウができるか、どのように目の前のブドウの力を最大限引き出すかを考え続け、名に恥じないワインを造り出そうと努力しています。
ブドウの出来が良いとされる年と比べて、味わいに違いはあっても、それが「美味しくない」ということには結びつきません。
だからこそ、普段は手が届かないような価格帯のワインを探す際は、ビンテージチャートを活用して、あえて「オフヴィンテージ」とされる年のワインを求めることもあります。
このように、ビンテージチャートの特性を理解した上で、決してチャートには載ることのない「物語」にも目を向けてワインを選ぶことも、豊かな時間だと言えるでしょう。