美容のためにワインを飲むのは無意味という事実
「酒は百薬の長」という言葉がありますが、これは前漢を簒奪し「新」を建てた王莽が施行した「六管」という国の専売制度の詔勅にある言葉で、「塩は食事の将軍であり、酒は百薬の長で、めでたき席によい」とあったと『漢書』にあります。
要するにそういうわけだから国の専売品を大いに買いなさいというおふれでしょう。
ですから、医学的な根拠がある言葉ではありません。
最近ワインが美容にいいという情報をよく目にします。しかし、どの情報を見ても根拠がないものばかりなんですよね。
例えば、アルコールは血行を促進するなんてことが書いてありました。お酒で血行がよくなると、疲労も肌荒れも解消されると言っているのですが、ちょっと医学の知識があればおかしいことがわかるはずです。
アルコールは血液中にあるときは確かに血管を拡張させます。
その結果一時的には血液の流量は増加、しかし、アルコールが分解されると、血管は拡張した反動で飲酒前よりも収縮することもわかっています。
つまり最終的には血流が悪くなります。お酒を飲みすぎた次の朝に足や顔がむくみやすいのはそのためです。
赤ワインに含まれるポリフェノールのおかげで、フランス人には心臓疾患が少ないというのも実は統計上のミスだったと判明しています。
飽和脂肪酸をたくさん摂取しているのに心臓病患者が少ないという「フレンチパラドックス」などヨタ話。
ポリフェノールに抗酸化作用があるのは医学的にも根拠があることですが、抗酸化作用があるポリフェノールはさまざまな食物に含まれており、わざわざワインを飲む必要はありません。
そもそもアルコール摂取は肝臓に負担をかけます。肝臓の役割は多岐にわたりますが、解毒機能もその一つ。
例えばタンパク質を摂取すると、腸内で分解されたときにアンモニアを発生します。アンモニアはそのまま腸から吸収されて肝臓へ運ばれ、無害な尿素へと変えられた後に最終的に尿から排出されます。アルコールや、医薬品なども肝臓で分解されます。
肝臓には他に糖・脂質・アミノ酸の代謝という人間が生きる上で不可欠な機能を持ちます。しかし、アルコールの継続的な摂取で肝臓機能が低下すれば、体全体の代謝機能が落ちます。
体の代謝機能低下が美容にいいはずがありません。それどころか健康にも害をおよぼします。
逆に害にならないようにたまに少量飲むようにしたら?確かに体に負担はかけないでしょう。でも、その程度で体に大きな変化が生まれるはずもなく、どちらにしても無意味です。
美容のためにというならば、他にもすることがあると思いますが・・・。