ワインに関する健康や美容効果のホント・ウソ

〇〇の中に含まれる何らかの成分が、健康にいいとかダイエットに効果的という情報はネットに溢れていますし、テレビでもよく見かけます。

しかし、そのような情報のほとんどには根拠がありません。

根拠というのはつまり、どのような機序でそういう結果になるのかが明確になっており、それが実験などで明確に証明されているということ。

医薬品などはこの根拠が明確になっていなければ厚生労働省から認可を受けられません。

どうも日本人は結果だけを求めるところがあるようで、自分に都合のいい結果さえ書いてあれば「なぜそうなるのか」ということは気にしない人が多いようですね。ワインについてもそういうのが多いです。

これまでワインについては、赤ワインのポリフェノールがいいだとか、白ワインの有機酸がいいだとかいろいろ言われてきました。でもやっぱり、根拠はあまり見つかりません。

赤ワインについては「フレンチパラドックス」という言葉がよく知られています。

これは、欧州の他の国やアメリカに比べて、フランスではより多くの動物性脂肪が摂取されているのに、それが原因となる心臓疾患はフランスのほうが低いというもの。

そして、その理由として赤ワインに含まれるポリフェノールが挙げられました。

しかし、テキサスの大学が行った実験などによって、現在では赤ワインに含まれるポリフェノール「レスベラトロール」に特にそのような効果はないということが判明しています。

また、赤ワインのポリフェノールによる癌の抑制作用については、アメリカのジョンズホプキンス大学の研究でその関与が否定されているばかりか、フランス国立がんセンターは赤ワインの常飲によって癌の羅漢率が168%増加すると発表しています。

どうやら赤ワインに健康や長寿の効果を期待することはできないようです。

では白ワインについてはどうでしょうか?白ワインはどちらかというと美容効果についてよく取りざたされています。

例えば白ワインにはカリウムが多く含まれるので、その利尿効果によってむくみの解消やデトックス効果が期待できるそう。

では、白ワインにはどれぐらいのカリウムが含まれているのでしょうか?

googleで「白ワイン カリウム」で検索すると100gあたり71mgと出ます。この数字は平均的なもので、品種によっては上下するはずですが、一応の目安にはできます。

さて、ではまずこの含有量が「豊富」なのかを見てみましょう。

例えば「バナナ カリウム」で検索します。すると100gあたり358mgと出ました。おやおや?では「アボカド カリウム」で検索してみましょう。100gあたり485mgと出ました。おやおやおや?白ワインは「カリウムが豊富」でしょうか?

ちなみに、一日に推奨されるカリウムの摂取量は男性2,500mg、女性2,000mgです。

カリウムを摂取するには白ワインを飲むよりバナナやアボカドを食べたほうがよさそうです。それにアボカドには抗酸化作用を持つビタミンEも豊富に含まれます。

むくみやデトックスということで言うなら、アルコールは飲んだときは血管を拡張させるものの、分解されると飲む前より血管が収縮するので、むしろ血液の流れが悪くなり、むくみやすくなってデトックスにもマイナスです。

白ワインの「美容効果」でよく言われるものでは、他に、白ワインには赤ワインより有機酸が多く含まれ、そのため腸内を弱酸性に保って善玉菌を増やすので、便秘解消につながるというものがあります。

有機酸とはなにかと言うと、大雑把に言えば有機化合物で酸性のもの。ワインには、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸など様々な有機酸が含まれます。

確かに善玉菌は弱酸性を好みます。また、リンゴ酸やクエン酸などはミネラルと一緒に摂取するとミネラルを吸収しやすくしてくれます。

そうした意味ではこれらの有機酸を摂取するのは確かに体にいいと言えるでしょう。

でもこれも白ワインを飲まなくても摂取できます。

例えばリンゴ酸はその名の通りりんごから発見された有機酸なので、りんごに多く含まれますが、バナナにも含まれる上、当然のことながらワインの原料のぶどうにも含まれます。クエン酸は柑橘類やお酢に多く含まれます。

「でも白ワインにも含まれているんだから白ワインから摂ってもいいじゃないか」という意見も出るかもしれません。しかし、その理屈が成り立つなら、クエン酸が含まれるコーラから摂ってもいいことになります。

健康や美容のためにコーラを選ぶという人はあまりいないでしょう。仮にいくらかのプラス面があったとしても、コーラは大量に砂糖が含まれるというマイナス面が大きいです。

同様に、白ワインもアルコールが15%ほどは含まれますから、有機酸を摂るために飲むという選択肢はおかしいわけです。それならアルコールを含まない食品から摂取すればいいというのが常識的な考えでしょう。

そもそもワインは食事とともに適量をおいしくいただけば良いこと。健康や美容を求めるなら、日常的に運動と食事の節制をすればいいだけの話です。

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