ワインを飲むのに腸内細菌のことを気にしても仕方のない理由とは

腸内細菌には非常に乱暴な分け方をすれば「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」が存在します。

日和見菌はその名の通り日和見をする細菌群で腸内細菌の大多数を占め、量は腸内細菌の7割以上。

日和見菌は善玉菌が優勢なら善玉菌に協力して腸内環境を良好に保ち、悪玉菌が優勢なら悪玉菌に擦り寄って腸内環境を悪化させます。

こうした腸内細菌の性質を見るにつけ、日本社会によく似ているなと思います。

特にネットが発達した現代、誰かが悪意を持って流したデマを鵜呑みにしたり、声が大きい主張になびくという日和見菌的日本人が多く、日本社会がどんどん住みにくくなっているのは、日和見菌人間が悪玉菌的人間に扇動されているせいだと思わざるをえません。

社会なり腸内なりを良好に保つには、善玉菌を増やして日和見菌をいいほうに導かねばならないのですよ。

では、実際に善玉菌を増やすにはどうすればいいのでしょうか?

ネットには、ワインのポリフェノールが善玉菌を増やす効果があるという情報が沢山転がっています。

しかし、そのどれもが「ポリフェノールは善玉菌を増やすといわれている」と書いてあるばかりで、どのような実験で確かめられたのかとか、どのような機序でそうなるのかということはどこにも書いてありません。

つまりこれは「疑似科学」の類で、根拠がないデマといっていいでしょう。

そもそも、赤ワインのポリフェノールが健康に寄与するといったような「フレンチパラドックス」は、現在ではほとんど否定されていることなので、あまり信用できません。

善玉菌を増やすのに現在有効と考えられているのは、腸内細菌を多く排出することで腸内フローラの新陳代謝をうながす食物繊維を多く摂ること、そして善玉菌の餌となるオリゴ糖を摂ることです。

ワインというのはあくまで嗜好品のアルコール飲料。含まれる成分に「健康効果」があると主張するのは、売る側のイメージ戦略と飲む側の言い訳でしかありません。どんな食べ物にもプラス面とマイナス面があります。

わかりやすく言えば、砂糖は体や脳を動かすエネルギー源になるプラス面があるけれど、摂りすぎれば肥満や糖尿病を引き起こすマイナス面もあるわけだから、プラス面だけ強調して無制限に摂取していいわけではないというのと同じこと。

仮にワインに健康に寄与する面があったとしても、それがアルコール飲料を多量に摂取していい理由にはなりません。

ですから、ワインのポリフェノールが腸内環境を良くするなどというような「言い訳」で、マイナス面から目をそらすのはやめた方がいいでしょう。

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