日本のワイン生産者には欧州ワインの関税撤廃にビビらないでほしい
TPP=環太平洋パートナーシップは、トランプ政権によりアメリカが離脱したことで先行きは不透明。日本がイニシアチブをとろうとしていますが、日本政府が参加国予定の国々をまとめられるのかは少々疑問。
一方、政府はEUともEPA=経済連携協定締結に向けた協議を4年間続けており、それがやっと大筋合意を得られることとなりました。
合意の内容は、EU側が日本製の自動車にかけている関税を7年かけて撤廃、一方日本側はチーズにかけている29.8%の関税を15年かけて撤廃するというもの。
日本側は他に欧州産ワイン、パスタ、チョコレートなどの関税も撤廃します。
消費者としては単純にこれまで税金分高かったものが安く買えるようになるので喜ばしいことでしょう。特にフランスやイタリア、スペインなどEU諸国のワインや、ワインには欠かせないおつまみであるチーズが安くなるのはありがたい話。
ただ、その一方で同種の製品を作っている国内企業が激しい競争にさらされるようになるというのもまた事実。
ワイン生産者側からは、この合意に対して2つの反応が現れました。
まず、欧州産の製品が安く入ってくる影響を懸念するもの。もう一つは、欧州産とは違う自分たちの製品の個性で勝負しようというもの。
前者は勝負する自信がなく、関税という政府の保護に頼らなければやっていけないという意識があるのでしょう。
確かに良い物なら売れるなどというのは幻想に過ぎず、いくらクオリティが高いものを作っていても、欧州というブランドと価格の安さに負けることはあるかもしれません。
ただ、それは国内だけに目を向けているからであり、目を欧州に向ければ、また事情は変わってくるかもしれません。
今欧州では、純日本産の「日本ワイン」の評価が高まりつつあります。それは、日本のワイナリーの技術が向上した結果、欧州の人々の嗜好に日本のワインが合うようになったことも意味します。
日本人は何かと受け身で考えがちですが、むしろこれをチャンスと考え、こちらから打って出てやるのだという気概があれば、結果的に「関税など関係無かった」ということになるかもしれません。