シミになりやすい赤ワインが服にかかってしまった時の対処法
以前はワインといえばフレンチレストランなどで気取って飲むものでしたが、現在ではお手軽値段のワインが出回り、家飲みでワインという人も増え、立ち飲みの酒場も女性客を引き寄せるためにオサレ化してワインも置くようになりました。
ワインが気軽に飲めるようになってくると、レストランで落ち着いて飲んでいる時には起こらないような、グラスやボトルを倒して服にかけてしまうなどというようなことが起こる確率も増えます。
特に狭い立ち飲み屋なんかで酔って不注意になり、うっかりワインを自分や他人にかけてしまったという人もいるのではないでしょうか?
それが白ワインならばあまり心配する必要はありません。しかし、赤ワインの場合だとちゃんと処理してあげなければシミになってしまいます。
赤ワインの色の元は、原料の黒ぶどうに含まれているアントシアニンという色素。アントシアニンは、分子が小さいので繊維の奥まで入り込みやすく、そのため服にこぼしてから時間がたつほど深く染み込み、それが乾けばなお落としにくくなるのです。
自宅で飲んでいるときにこぼしてしまったのであれば、そのまま即洗濯すれば、まずシミになることはないでしょう。
問題は外でやってしまったとき。
こぼしてしまったとき、まず大切なのは極力広がらないように水分を取ること。あわててこすってしまってはいけません。こするとかえって範囲が広がります。
こすらずに、乾いたタオルなどを濡れた部分に押し付けます。できれば表と裏から挟み撃ちするようにして圧迫するようにするといいでしょう。
アントシアニンは水溶性の物質なので、しっかり水分を吸い取るだけでもある程度は繊維に残さずにすみます。
タオルにある程度水分を吸わせたら、また別の乾いた場所でおさえるということを何度か繰り返し、タオルでおさえても濡れなくなるまで繰り返します。
一度ワインの水分を吸い取ったら、今度は少量の水をかけて、それをまた吸い取るようにすれば、なおいいです。
あとは、できるだけ時間をおかずに洗濯をします。
水分を吸わせるために塩や重曹などを大量にふりかけるのがいいという情報もありますが、塩はともかく重曹がいつでも手元にあるわけでもなく、また、塩よりは布やティッシュのほうが吸水性はいいです。
それに塩で試してみたら余計シミがひろがったということもあるようなので、これはあくまで次善策としたほうがいいでしょう。
アントシアニンの特性として、pHが変わると色も変わるというものがあります。赤ワインが赤いのは、ワインのpHが弱酸性だから。
そこにアルカリの洗剤を使うと色が青紫に変わって残りやすいということで、プロの場合は酸性の洗剤を使うようですが、すぐ洗うのであれば中性洗剤でも問題ありません。
洗濯してもまだシミの輪郭が残ってしまうようなときは、その部分を少し濡らし、下に布を置いてから中性洗剤をかけ、上から歯ブラシなどで叩いていくと目立たないぐらいまでには落ちます。
ただ、数日たってしまっているシミは酸化しているために中性洗剤では落ちにくくなっています。その場合、アルカリ性の洗濯用ハイターにつけ置きすると、シミが中和されて落ちやすくなります。
ただし、ウールや絹などタンパク質の繊維によってできているものは、アルカリに漬けると繊維が溶けるので、中性洗剤で落ちなければプロに任せたほうがいいでしょう。
もし他人の服にこぼしてしまったら、上記の方法で応急処置として水分を吸い取るぐらいのことはしたほうがいいですが、それ以上は自分でなんとかしようなどとせず、即クリーニングに出します。
クリーニングに出しても落ちなかったら、同じ服、もしくはその服の金額を弁償すべきでしょう。