ただの「カルトクイズ」ではない真のワイン愛好家のための資格「ワインエキスパート」とは

日本には公的なソムリエの資格はありませんが、日本ソムリエ協会が認定しているソムリエ資格はあります。

これはあくまで法的根拠がない民間認定資格。

ただ、このソムリエ資格を取るためには、ワインや酒類に関わる仕事を3年以上経験している必要があり、試験も三次試験まであって非常に難関。

認定資格ではあっても、ちょっとしたクイズに答えれば取得できるようなたぐいの資格とはまったく違うもので、本来ならばもっと権威ある資格として扱われてもいいはず。

しかし、ソムリエ資格はあくまで職業として活かすための資格であり、単なるワイン好きの人が目指すようなものではありません。

そこで、日本ソムリエ協会では、そんなソムリエを目指しているわけではなけれど、ワイン好きをさらに深められるような資格を用意しています。

それが「ワインエキスパート」

有名人も取得している資格

ワインエキスパートはソムリエ資格とは異なり、20歳以上であればだれでも受験できます。ゆえにワイン好きの有名人にもこの資格を取得している人がいます。

ワインエキスパートを取得している有名人は、故人の川島なお美さんを筆頭に、モデルの押切もえさんやアナウンサーの杉崎美香さん、お笑いコンビ髭男爵のひぐち君さんなど。

押切もえさんは「メルシャンワインアンバサダー」でもあります。

ワインエキスパートとは

ワインエキスパートは、日本ソムリエ協会によれば以下の通り。

「ワインエキスパートとはワインを中心とする酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有する者を言う。 プロフェッショナルな資格ではないので職業は問わず、むしろ愛好家が主な対象となる。我が国においてはJ.S.A.が、ここで 言う定義・役割・求められる能力に適うと認められた者に対してワインエキスパートの資格を認定している。」
(一般社団法人日本ソムリエ協会のwebサイトより引用)

「J.S.A.」は日本ソムリエ協会の略称で、あくまでプロではなくワイン好きの人が対象。ただし、知識だけではなくテイスティング能力も求められるので、単なるカルトクイズ的な試験ではないことがわかります。

また、ソムリエを目指していて、まだソムリエ資格の試験を受けられるだけの実務経験がないという人も、その前段階としてこれを取得することもあるようです。

ワインエキスパートを取得するには

ワインエキスパートは、日本ソムリエ協会が行っている試験に合格すれば取得できます。試験は、実は途中まではソムリエ資格と同じ内容。

すなわち、一次試験で筆記試験を受け、それに合格すると二次試験のテイスティング試験を受けられ、そこで合格すると認定されるようになっています。

ソムリエ資格の場合は、さらに三次試験の「サービス実技」が行われますが、これはソムリエの業務におけるレベルを見るものなので、ワインエキスパートのほうでは行われません。

ちなみに受験料は2016年時点で25,440円。プロ向けではない認定資格の受験料としてはなかなかに高額。

2015年の合格率は39.6%。半数以上が不合格になっていますから、受験料を無駄にしないように、受験するならばしっかり準備をしていったほうがよさそうです。

ワインエキスパートに必要なことは?

ワインエキスパートに求められるのは「ワインの品質判定を的確にできる見識」です。

いわゆるオタクのたぐいは、人が知らないような細かい知識を聞きかじっては自慢するという性質を持ちますが、ワインエキスパートにはそのような者は求められません。

むしろ、誰でも知っているような基礎知識を誤りなく正確に理解していること、表面的な知識ではなく、これはなぜこうなるのかという根本まで突き詰めた深い知識があることが求められます。

実際にワインエキスパートの試験を受けたという人の情報では、国内でのワイン産業に関わる問題も多かったということで、これにはこれからの日本のワイン産業を支えていく人材を排出したいという意図もうかがえます。

もちろん、筆記試験に合格するだけの知識だけではなく、実際のワインテイスティング能力も重要。そのためには、自分の好みに偏らず、様々なワインを実際に飲み、味わって、それを脳に刻みつけなければなりません。

受験の準備には?

ワインエキスパートの試験には、白紙の状態、つまり「え?ワインに使うぶどうに品種の違いがあるの?」というレベルの人でも1年勉強を重ねれば合格できると言われています。

しかし、毎年の合格率を見ると平均合格率は4割程度に過ぎませんから、1年だけの勉強で合格するためには、大学受験なみの努力が必要でしょう。実際には2年、3年勉強してやっと合格したという人もいるようです。

初心者がワインの勉強を始めるのにおすすめと言われているのが、漫画『神の雫』(原作:亜樹直、作画:オキモト・シュウ、講談社モーニングKC)。一般漫画誌連載だっただけに、まったくワインの知識を持っていない人に対してもわかりやすい解説がされています。

とはいえ、『神の雫』は全44巻、そして続編の『マリアージュ 〜神の雫 最終章〜』も2016年11月時点で5巻出ていますので、ただ流し読みするだけでも大変。ましてやしっかりポイントを抑えて理解しながらとなるとさらに時間を要することでしょう。

また、『神の雫』はあくまでストーリーが主となる漫画作品ですから、これだけ読んでいても試験に合格はできません。

現在、ソムリエやワインエキスパート試験に特化した書籍も出版されています。その中でも推奨されているのが、ソムリエ資格を勉強するためのワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」編著による『ワイン受験講座』。

また、同じくワインスクールを開いている田辺由美氏の『ワインブック』などは、プロのソムリエも推奨しているようです。

他に、ワインには独特の用語がたくさんあるので、ワイン用語集などを手元に置き、分からない用語が出てきたら即引くというようにするといいと思います。

試験にはワインの歴史についての問題もあります。歴史的な出来事というのは、それ単体で起こるということはありませんから、ワインを中心にして歴史を学ぶにしても、その時代背景を理解するために、ヨーロッパ史のおおざっぱな概要ぐらいは抑えておいたほうがいいと思われます。

テイスティング対策としては、ただ漫然とワインを飲んでいればいいというものでもなく、ワインテイスティングの教本などを購入し、基本を抑えながら飲む必要があります。「そんな勉強のような飲み方はいやだ」という人には、ワインエキスパートには向いていません。

ワインスクールを受講する

ワインエキスパートを取得した人の中には、独学で合格したという人もいます。ただ、同じことを覚えるにしても、専門の先生に教えてもらったほうが効率がよく、またポイントを抑えて深く理解できるものです。

独学では何かに疑問を持った時に、それに対する答えを見つけ出すのは大変ですが、先生がいれば質問して教えてもらうことができます。

また、独学の場合何が重要で何が重要でないか判断がつかないこともありますが、そうした知識の重要度についても教えてもらえるでしょう。

ワインエキスパートの試験はカルトクイズではありませんから、知っている必要はない知識というのも当然あります。

日本にもソムリエを目指す人のためのワインスクールがいくつかあり、その中にはワインエキスパート試験を対象とした講座がある学校もあるので、通える範囲にそのようなワインスクールがあるならば、通ってみるのもいいと思います。

また、通える範囲になくても通信講座を提供している学校もあります。通信講座だと独学と変わらないのではないかと思うかもしれませんが、通信講座と独学の違いは、質問すれば答えを教えてくれるというところにあります。

それに、通信講座のほうが、ポイントを押さえた指導をしてもらえます。ですから、お金はかかっても独学よりは通信講座のほうがより合格への確率を高めることができると言えます。

ワインエキスパートに特にメリットはない

ワインエキスパートはソムリエ資格とは違い、「名誉称号」のようなものなので、それを持っていたからといってメリットが期待できるわけでもないのです。もっとも、芸能人であればワイン関連の仕事は増えるかもしれませんが・・・。

ただ、取得をきっかけにして今度はソムリエを目指してみるというのもいいかもしれません。あるいは、ワインエキスパート取得から5年目に受験できる、上位資格「シニアワインエキスパート」を目指してみるのもいいでしょう。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る