日本が「ワイン後進国」から脱するために必要なこと

日本にワインが入ってきたのは明治維新の後。そして、本格的に広まるようになったのは昭和も後期になってから。庶民でも気軽にワインを飲むようになったのは、平成に入ってからと言っていいでしょう。

つまり日本はワインの歴史が非常に浅い国で、ワイン後進国といっても間違いありません。

あるいは、日本が遅れていると指摘されると脊髄反射的に反発するタイプの人が「そんなことはない」などと怒るかもしれませんが、それを示す具体例はきちんとあります。

まず「ワイン法」がないことが根拠の一つ。

フランスやイタリア、アメリカなどには、産地や製法などが厳格に決められたワイン法があります。ワイン法では原料は「しぼりたてのぶどう果汁」と定められており、産地も守らねばなりません。

ところが日本では、輸入濃縮果汁を水で薄めてから発酵させたものも「ワイン」として売られている上、ぶどう以外の果汁を用いた醸造酒も堂々と「ワイン」を名乗って売られています。

また昭和の時代まではポートワインとはまったく違う製法のものをポートワインと名付けて売ったり、シャンパンではないスパークリングワインをシャンパンとして売ったりということも平気で行われていました。

ワインについて非常にいいかげんなこの国は、やはりワイン後進国でしかありません。

その後進国ぶりを示すもう一つの根拠が、ソムリエの資格がないということ。また「そんなことはない」と瞬間的に激高する堪え性のない人がいるかもしれません。

確かに日本にはマスターソムリエやプロフェッショナルソムリエなどという資格が存在します。しかしこれらはあくまで「民間資格」。

民間団体がそう認めているというだけで法的根拠はありません。

ですから、法的に言うなら世界的に権威がある田崎真也さんですら、日本国内では「ワインにとても詳しいおじさん」以上の立場ではないのです。

もちろん田崎さんの実績や実力を考えれば、それに留まるような人ではないことはわかっています。

私が言いたいのは、日本のワインに関する法制度が立ち遅れているせいで、有能な日本人ソムリエがその能力に見合った立場を与えられていないということなのです。

また、日本の民間団体が認定しているソムリエの資格もけして簡単にとれるものではありません。むしろ非常に難しく、マスターソムリエともなれば言ってみれば「剣道十段」ぐらいの権威があってもいいぐらいです。

日本にはソムリエの資格を認定している団体が2つあります。

まず、日本ソムリエ協会の認定資格にはソムリエ資格、シニアソムリエ資格、マスターソムリエ資格の3段階があります。

ソムリエ資格をとるためには、アルコール飲料を提供する飲食サービス、ワインなどの仕入れ・管理・輸出入・流通・販売・教育機関講師・製造、アルコール飲料を取り扱うコンサルタントいずれかの業務に3年以上従事している必要があります。

シニアソムリエは、上記の業務に10年以上従事しているソムリエ資格を取得後3年以上たっている人で、受験時にもその業務に就いている人だけが受験できます。

マスターソムリエはもはや試験はなく、シニアソムリエの中からふさわしい人が推薦されて認定されます。試験という明確な基準がないぶん、信頼や実績などが問われるより難しい資格ではないかと思われます。

もう一つの全日本ソムリエ連盟は「飲食専門家団体連合会=FBO」の下部組織。

まずソムリエ資格はFBOの講習を受講した後に試験に合格した人、プロフェッショナルソムリエ資格は、ソムリエ資格を取得した後にさらに講習を受けて試験に合格した人がなれます。

日本ソムリエ協会のほうが実務経験が必要なことに加えて、三次試験まで合格してやっと認定されるという点で専門性が高く、またそれを経て資格を取得した人の信頼性も高いように感じられます。

ソムリエというのはワインのプロであると同時に接客のプロでもあるべきだと思いますので、私個人の意見を言えば、日本ソムリエ協会の資格のほうが国内のスタンダードになるべきであり、また政府はこれだけのきちんとした資格を民間資格にとどめおかずに、法的な根拠を与えるべきだと思います。

そうなってこそ国内でのソムリエの立場が向上するとともに、ワイン文化も一段進むことになるのではないかと思います。

まずは、EU並の明確なワイン法の制定と、そしてソムリエの公的資格の創設が望まれます。

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