実はいろんな種類がある「ワイン用ぶどう」

ぶどうといってもマスカットや巨峰などいろいろ品種がありますが、大きなカテゴリーに分けると生食用とワイン用になります。

それはちょうど、お米にも食用と日本酒用があるのと同じようなことです。

生食用とワイン用のぶどうの違いはどこにあるのか?

それは糖度と酸味。

生食用はほどよい糖度で酸味は抑えめに品種改良されています。そして、ワイン用は糖度も酸味も高めになっています。

「え?ワイン用は苦くて食べられないって聞いたけど」という人もいるかもしれません。

でもそれは間違い。

ワインに限らずお酒というのは糖を発酵させてアルコールを生み出して作られます。

ゆえに、糖分が多く含まれていることが重要。そして、ワインの場合は酸味も必要になりますから、生食用のように酸味を抑えるということはしていません。

赤ワインの苦味・しぶみはタンニンによるもの。お茶の渋味も同じタンニンが生み出しています。

しかし、ぶどうの場合タンニンは皮や種に含まれているので、実を食べても苦く感じたりはしません。

それと、生食用はぶどうのふさにぎっしり実がついていて、ワイン用は風通しがよくなるように隙間が開いているという人もいますが、それも間違い。

実際ワイン用ぶどうを見てもそんなスカスカということはありません。

ワイン用ぶどうは、さらに赤ワイン用、白ワイン用に分かれ、それぞれに品種があります。

もっとも、種類はここに挙げきれないほどありますので、その中でも代表的なものだけピックアップします。

『赤ワイン用ぶどう』

ピノ・ノワール

フランスのブルゴーニュ地方原産。タンニンが少なめの品種で、軽い飲み口の赤ワインができます。

寒冷地を好むので、ブルゴーニュ地方やアルザス地方などで栽培されています。

ちなみにブルゴーニュ地方は8月でも最高気温が30度に達することはありません。

カベルネ・ソーヴィニヨン

こちらはボルドーの赤ワインに広く使われている品種。ピノ・ノワールよりも温かい地方を好みます。

ボルドーはブルゴーニュに比べるとほんの数度ですが気温が高めです。

タンニンを多く含むため、カベルネ・ソーヴィニヨンでつくったワインは長期熟成に適しているといわれます。

メルロー

ボルドー原産。実は赤ワイン用としては作地面積が最大の品種。比較的高温多湿にも耐えるので、日本でも栽培されています。

グルナッシュ

メルローに次いで作地面積第2位の品種。作地面積は2位ですが、生産量でいうと世界一。

高温、乾燥に強く、育てやすい品種で酸味が強めです。

マスカット・ベーリーA

日本で品種改良によって生まれた品種。日本の気候に適しており、糖度が高く、日本産赤ワインを支える存在です。

『白ワイン用ブドウ』

シャルドネ

白ワイン用としてはまず最初に挙がるであろう品種。

ブルゴーニュの白ワインによく使われていますが、アメリカやイタリア、オーストラリアなどの白ワインにも使われています。

また、白ワインのみならず、シャンパンの原料にもなっています。

ソーヴィニヨン・ブラン

ボルドーの白ワインによく使われる品種。酸味が強めで、独特の香りがあります。ブルゴーニュの白ワインに使われることもあるようです。

リースリング

シャルドネとならんで有名な品種。特にドイツの白ワインに多く使われます。

ピノ・グリ/ピノ・ブラン

ピノ・グリとピノ・ブランはブルゴーニュの白ワインに使われる品種。白ワイン用ぶどうですが、どちらも赤ワイン用のピノ・ノワールの変種と考えられています。

甲州

鎌倉時代から甲州で栽培されている日本固有種。もともとは中国経由で伝わったヨーロッパ種と考えられていますが、いつごろ伝わったかは不明。

鎌倉時代、すでに野生化していたものが栽培されたのが始まりと言われています。

ワイン醸造の習慣や技術がなかった日本では、鎌倉時代以来食用として栽培されてきました。

その後、明治時代になって西欧化とともにワインの需要ができると、ワインの原料にも利用されるようになります。

現在山梨県が日本を代表するワイン産地なのもこうした下地があってのこと。今では甲州は主にワイン用品種が栽培されています。

日本酒が酒米の違いによっても味が変わるように、ワインも原料のぶどうの品種によって味が変わります。また、同じ品種でも作る地方や国によっても違う個性が出るものです。

そんな、品種による味の違い、同じ品種で作られたワインごとの味の違いなどを比べてみるのも楽しいかもしれませんね。

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