ワインの酸が歯を溶かす!?
ワインの味を作る大切な要素の一つに酸味があります。この酸味は原料のブドウがもつ酒石酸とリンゴ酸がもたらすもので、酸というからには当然酸性。
かつて、コーラに抜歯した歯を浸しておくと溶けてナイフで切れるぐらいに柔らかくなるという実験のようなものがありました。その印象が残っている人の中には、未だに「コーラを飲むと骨が溶ける」などというバカなことを言う人がいます。
浸した歯が溶けたのはコーラに含まれる炭酸によるものです。実際コーラを飲むときに、歯やましてや骨が炭酸に晒され続けるということはありえませんので、コーラに限らず炭酸飲料を飲んだからといって骨が溶けることはありません。
しかし、酸性のものを口に含み続けていれば、歯が溶けていくという可能性があります。そして、そういうことをする可能性があるのが、ワインの醸造家やソムリエです。
ワインのプロは、品質を確認するためにワインを口に含んだらしばらく口の中に止め、空気を吸い込んで味の変化も確かめます。つまり、最初から酸を含んでいるワインを更に酸化させて口に含むことになるわけです。歯は一定時間酸性成分に浸されることになります。
オーストラリアの医大の歯学部では、口に含んだワインが歯に対してどのような影響を及ぼすかの実験を行いました。それによると、ワインを一分間口に含むテイスティングを10回、つまり都合10分行っただけで、歯の表面を覆うエナメル質が溶けるという結果になったとのこと。
一般の消費者がそんなに長くワインを口に含むということはないと思います。しかし、ソムリエのマネなどして長くワインを含み続けていれば、歯が弱くなる可能性はあるので気をつけたほうがよさそうです。