温暖化でワイン生産地図が変わる?

年間平均気温が10度~20度であることが、ワイン用ブドウが生育するための必要な条件で、なかでも、16度くらいまでが最も良いとされています。一般的に、気温が上がることでブドウの糖度も上がり、濃厚なワインに仕上がるとされています。

現在、世界共通の課題となっている温暖化は、当然、温度に敏感なブドウ栽培にも影響が及びます。

ドイツでは伝統的に冷涼な気候に向いている白ブドウの栽培が多く、全体の90%以上が白ワインの生産となっていたこともありました。しかし近年の温暖化の影響で、最近では黒ブドウ栽培が増え、赤ワインの生産が40%ほどを占めるまでになりました。

同じようにイギリス南部でも、第二のフランス=シャンパーニュを目指して、スパークリングワインを造りはじめるワイナリーが増えています。今はまだ年間平均気温が少し低いのですが、このままいくと近い将来には現在のシャンパーニュ地方くらいの温度になるのではないか、とみられています。

また逆に、今と同じ状態のブドウが温暖化によって得られなくなるという懸念もあります。そのようなことから、大手シャンパンメゾンでは気候の変化に対応するための様々な試みをはじめているところもあります。

ブドウを霜から守ることができるなど、寒い地方にとって温暖化は必ずしも悪い面ばかりではありません。しかし、あまりにも気温が上がるとワインの香りが貧相になったり、虫や病気が発生したりと懸念される事柄もあります。

ミゲル・トーレス社というスペインの大手メゾンでは、現在はまだブドウ栽培に向いていない高地に土地を求めました。これも温暖化対策です。

完熟したブドウを氷結させ、シャーベット状になったブドウを搾汁して造るドイツを代表するワイン、甘口のアイスヴァイン(アイスワイン)の産地では、温暖化の影響でブドウが凍らず、すでに生産量が減ってきています。

温暖化によって生産地域の変化が大きくなり、もしかすると今後ソムリエ試験の項目に「北欧の国」が追加される日が訪れるかもしれません。もしかしたら、私たちは今、ワインの歴史が変わる瞬間に立ち会っているのかもしれませんね。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る