桃やサクランボのワインも「ワイン」と言える?

日本では、ざっと見渡しただけでも「桃」「さくらんぼ」「苺」「キウイ」「みかん」「梅」「りんご」「マンゴー」などのワインが販売されています。なんとなく、ワイン=ブドウから造られたお酒、という認識があるので、これらのお酒を「ワイン」と言ってしまってもいいのか?と疑問を持たれるかもしれません。

欧州では、ワインの定義を「新鮮なブドウをアルコール発酵させてつくったもの」と明確に定めているので、このような混乱は招きません。しかし、日本はというと、酒税法で「原料として使用した果実の全部または一部がブドウである果実酒」をワインと定義付けしているため、定義上は「桃」や「さくらんぼ」などの果実を使用していても、ブドウが一部使用されていれば「ワイン」と呼ぶことができるのです。

各自治体のなかには、EUのワイン法を参考にして独自の取り決めを行っているところもありますが、国家としてはワインのためのルールは整備されていません。

ワイン法が存在しないことによる弊害は他にもあり、現時点では「輸入した濃縮果汁」に「アルコールや水など」を「添加」して造られたものも「ワイン」とされており、更には「日本で造ったもの」ということで「国産ワイン」と謳われているのです。つまりは、日本で栽培されていないブドウを使用して濃縮還元されたジュースを輸入し、日本で瓶詰めしただけで「国産ワイン」として流通しているのです。

こういった「輸入濃縮果汁(=ジュースの原料と同じもの)」を使用して造られた「ワイン」は、日本で造られているワインの9割を占めるとも言われています。

一方で、近年では世界的なコンクールでも入賞を果たすような良質な「日本ワイン」も存在します。日本でも年々ワインの消費量は増えており、今後も広く流通していくでしょうから、良質な日本ワインとその醸造家を守るためにも、一刻も早くワイン法を整備してほしいと願っています。

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