おいしいワインを造るには、まずはブドウから!
ワインを造るためのほぼ唯一の原料、ブドウ。
ワインの品質をこのブドウの品質があらかた決めてしまうと言っても過言ではない、ワイン造りになくてはならない存在です。
そんなワイン用ブドウですが、なぜか生のまま食べると「おいしくない」というイメージをもたれがちです。しかし、醸造用ブドウは、じつは他の食用ブドウと比べても、引けを取らないくらいに美味しいのです。
ブドウの品種はたくさんありますが、おいしいワインを造り出すワイン専用ブドウの品種は、ほんの一握りしかありません。甘みがとても強く、酸味も充分にあり、リッチで濃厚な味わいを特徴としています。
ブドウの成分を見てみると、果肉中にはブドウ糖、有機酸(リンゴ酸、酒石酸)。種子、果皮にはポリフェノール類(アントシアニン、タンニンなど)が多く含まれています。
また、果皮の表面には、ワイン造りにかかせない酵母と、酵母の働きを助ける成分もついています。果皮が破れ、酵母が果汁に触れた瞬間、そのまま発酵がスタートするようになっているのです。
さらにブドウの果皮には、それぞれの畑に特有の香気成分も付着していて、これらを抽出することによって、ワインの風味にその畑特有のアクセントが加わってゆきます。
果汁だけではなく、ブドウを構成するこれらの成分すべてが、ワインの品質を決めているのです。
そのため、収穫時のブドウ表面の状態も、ワインの品質に大きく影響します。
腐れがなく、果皮の破れもない状態のブドウを、果皮表面の酵母が流されていない晴れた日に収穫してゆくのです。なおかつ、葉や虫が綺麗に除去されている清潔な状態で、さらに自重でつぶれないように、扱いも慎重にしなくてはなりません。
ブドウの収穫時期はだいたい9月頃ですが、いつ収穫するかによっても味わいが違うため、各々の造り手が自分好みの味になるよう、ブドウの成熟度合いを見て決めています。
完熟より少し前に収穫すると、フレッシュ感があり、青々しい香りを出しやすくなります。
また過熟したときに収穫すると、酸味が少なく、煮詰めたようなこってりとした味わいが出やすくなるのです。いずれにしろ、収穫する時間帯は、午前の早い時間が理想だと言われています。
ブドウの木は、夜間に果実中に糖分を蓄積し、日中にはその糖分を消費してしまいます。この糖分は、ただ美味しいだけでなく、酵母がワインを熟成する際にも使われる大切なものです。
さらに、日中に減少してしまう香気成分も中にはあると言われています。現在は安全と収穫作業の効率化のために、日中に行う事の多いブドウの収穫。
しかし、古代ギリシャから夜収穫(ナイトハーベスト)と呼ばれる、日の出前の数時間を使って収穫する農法があり、こちらの農法を行っているブドウ農園も、決して少なくないようです。