おいしいワインを収穫する気候の条件
ブドウの成長に大切な気候条件はたくさんあります。
その中でも植物に共通して大切な物が、日照と温度です。
ブドウに限らず植物は、光合成をして成長します。そのためそれぞれに適した日照と温度を必要とするのです。
ワイン用のブドウ栽培に適した気候は、充分な日照時間が生育期間中に1300~1500時間以上ある事が条件です。
また気温に関してはさらにデリケートで、年平均気温が10~16℃の温暖な気候。なかでも開花時期に15~20℃、果実の成熟期に20~25℃である事が条件とされています。
気温が高いほど光合成は早いのですが、あまり気温が高すぎると、ブドウの生体内の機能に障害が出て生育が停止し、かえって果実の熟成が遅れてしまいます。
また、日照と温度に加えて、湿度と降水量に関しても、おいしいワイン造りのためには条件があります。
ワインの味には、ブドウ表面の酵母菌の働きも重要なのですが、あまり多湿の土地の場合は、望まない菌が増え、病害を誘発しやすいと言われています。開花から収穫までの3ヵ月間、カラッとした晴天が多いような土地が育成に適しているとされています。
また、乾燥していても水分も適度に必要です。降水量が極端に少ないと、成長不良や果実の成熟不良になり、ひどいときには立ち枯れの危険さえもあります。
しかし、降水量が多すぎると樹勢が強くなり、良い果実をつけてくれなくなります。
これら水分の問題には、土壌の保水力も関わってきますので、根もとに草を生やして、地表からの水分の蒸発を防いでいるブドウ農園も実際にあります。
さらに、これらの気候条件がまったく同じ気候帯でも、標高や斜面の向き、さらに風の流れの違いによって生じる、日照・気温・降水量のわずかな差も、ワインの味に影響を与えます。
このごく僅かな気候条件の違いは「ミクロクリマ」と呼ばれ、ほんの小さな区画ごとにワインの特性や、ひいては品質の格付けさえも異なっている要因のひとつなのです。