貴腐ワインってどんなワイン?

朝霧の深い地域では、ブドウに貴腐菌がつき、上品な甘さの貴腐ワインができあがる事があります。

この貴腐菌(ボトリティス・シネレア)はカビの一種で、成育中のブドウの果皮を溶かして果実内の水分を蒸発させ、そのぶん糖などのブドウ成分の濃度を上げる働きをしています。

濃度のあがった糖や酸を貴腐菌が分解、代謝することで、独特の香りや味わいも生み出すのです。しかし本来、貴腐菌は病害のもとで、灰色カビ病を発生させるブドウの天敵です。

それが特殊な気候条件によってのみ美味しい貴腐ブドウへと生まれ変わるのです。

その特殊な気候条件を持つ土地は、ボルドーのソーテルヌ地区、ドイツのモーゼル地方およびライン地方、そしてハンガリーのトカイ地方です。

これら3つの土地は理想的な貴腐ワイン産地で、ここの貴腐ワインは世界三大貴腐ワインと呼ばれます。

このように、特別な環境で育ったブドウを使われる貴腐ワイン。醸造も特別な手順を要します。

基本的に白ワインの醸造と同様の工程で行われますが、貴腐ブドウは貴腐菌以外にもさまざまな微生物が付着しているため、それらの活動を抑えるために、亜硫酸はやや多めに添加されます。

また、水分が少ないため、圧搾には時間がかかり、さらに発酵も糖度が高すぎるために、途中で進みにくくなってしまいます。

それらに注意しつつ、美味しさもじゅうぶんに保ちながら醸造を進めてゆかなくてはなりません。

天然酵母の発酵は、アルコール濃度が14~15%になると自然に停止するようになっています。それ以上になると、糖分はもう分解されません。貴腐ワイン中にはまだ多くの糖分が分解されないまま残ることになり、これはそのまま甘みとして感じることができます。

しかし、残された糖分は、途中で再発酵を起こして味を変えたり、また他の菌に利用されて味が変質してしまう恐れがあるため、亜硫酸を添加して微生物の活動を止める必要があります。

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