白ワインは殺菌効果が強いけれど飲めば効果が出るというものではありません
肉食や喫煙が多いフランス人が心臓病になりにくいという「フレンチ・パラドックス」。これは赤ワインに含まれているポリフェノールの抗酸化作用のおかげだったんだよ!というウソを信じている人はもういないだろうと思っていたら、意外とまだ信じている人が多いようです。
しかし、実のところフランス人の心臓病羅患率は欧州の中では多少低めというのに過ぎず、日本人よりは多いです。また、赤ワインのポリフェノール摂取による有意な変化は見られないということも実験によって確認され、今では赤ワインの「健康効果」などを訴えるのは当時洗脳された日本人ぐらいのものです。
一方、ワインの持つ殺菌効果は、ワインメーカーのメルシャンが行った実験によって確かめられています。
実験では、培地に繁殖させたサルモネラ菌と大腸菌に対し、白ワイン、赤ワインを加え経過を観察。その結果、10万個のサルモネラ菌が赤ワインでは10分後に200個ほど、そしてなんと白ワインでは3個にまで減少。大腸菌は30分後に死滅しました。
メルシャンは、この結果をワインに含まれるアルコール分と有機酸の相乗効果によるものだと見ているようです。
ワインにはリンゴ酸や酒石酸といった有機酸が含まれています。有機酸も「酸」なので、菌を殺す力が強いわけですね。有機酸は赤白どちらのワインにも含まれますが、どちらかというと白のほうが含有量が多いので、殺菌効果という意味では白ワインのほうが優位です。
ただ、胃の中での殺菌効果はあまり期待できなそう。というのも、固形物を摂取したときは胃の中に1時間以上とどまって消化されるものの、液体は5分程度で胃を通過してしまうからです。だから、例えば「牡蠣を食べても白ワインを飲んでおけば大丈夫」ということはありえません。
そもそも、有機酸などよりも胃酸のほうが殺菌効果は強いですから、胃酸で死滅しなかった菌がワインを飲んだだけで死ぬということはないわけです。
白ワインの殺菌効果を活かすには、生ものを10分以上漬け込んでおくなどといったやり方が有効でしょう。