「AIソムリエ」は人間のソムリエを不要にするか?
かつて欧州でチェスのチャンピオンがコンピューターと対戦して負けたとき、単に駒を奪うだけではなく、それを味方として再活用する我が日本の将棋はまだまだコンピューターなどには負けないなどと息巻いていた人がいましたが、今となってはそんな願望も過去のもの。
AIつまり人工知能搭載の将棋ソフトに、プロの棋士でも負けるのが普通の時代となってしまいました。
実際現在のAIの発展はめざましく、将棋対戦のようなパフォーマンス的なものから、社会の中で実際に活用される段階に移行しつつあります。2017年の6月に開催された「AI・人工知能EXPO」には、「AIソムリエ」なるものが出品されました。
現在でも、購入したワインのラベルなどを登録しておくと、そこから自分好みのワインを紹介してくれるアプリやサービスは存在します。
AIソムリエがそれらと違うのは、飲んだワインの感想を入力すると、そこから好みを導き出し、どんどん学習していくということ。学習し、変化することができるのが、機械的なデータ活用とAIの最も大きな違いです。
AIソムリエが実用化されれば、今ソムリエを置いていないようなお店でも、自分好みのワインを選んでもらうということができるようになるかもしれません。
こうしたAIの普及によって、人間の活躍の場が狭まるのではないかという危惧を持っている人もいるようですが、それは杞憂ではないでしょうか?
例えば、囲碁でも将棋でも、人間はもうAIにはかなわなくなってきています。かといって人間同士の対戦に意味はなくなるか?そんなことはありません。
人間の棋士は、その日の体調や気分、その他もろもろの条件によって打ち手、指し手が変わり、それによって同じ対戦カードでも内容も勝者も変わります。人間同士の対戦はそこにこそ面白さがあるわけです。
ソムリエにしても、人間のソムリエさんなら、客の顔やその日の料理を見て、AIには思いつかないような意外な提案をすることもできるはず。
よく、一流と超一流の差として、顧客が望む通りのものを提案できるのが一流、顧客が望んだ以上のものを提案できるのが超一流だというようなことが言われます。
おそらく今の段階では、超一流になれるのは人間だけです。
AIの普及は確かにレベルが低い人間を追い落とすことになるかもしれない。しかし逆に、AIにはできない仕事をしてくれるレベルの高い人間の価値は高めることになるのではないかと思います。
今でもソムリエさんを常駐させているレストランには特別感があります。AIソムリエがいろんな店に置かれるようになったら、むしろ人間のソムリエさんを置いている店のステータスはさらに上がることになるでしょう。
それすら超えるAIが開発されてしまったら、あきらめるしかないかもしれませんが・・・。