ワイングラスの持ち方とワインの注がれかたの正しいマナー
日本人は昔からだいたい外国文化というのをちゃんと理解することなく、上澄みだけすくい取ってわかった気になってきました。
例えば「北枕」
日本では「北枕は縁起が悪い」と言われます。これは、人が亡くなると頭を北に向けて安置するから。
では、どうして北向きに安置するのでしょうか?それは、お釈迦様が入滅したときに北枕だったからそれをパクったのです。
では、お釈迦様はどうして入滅の時に頭を北に向けたのでしょうか?「これから死ぬから北枕になるわ」といってわざわざ北向きに寝直したのでしょうか?そんなことはありません。
お釈迦様どころか、弟子たちもみんな普段から北枕で寝ていたから入滅時も北枕だっただけのことです。なぜならば、インドでは北は吉方、南は死の国の方角だからです。
その根本的な文化の部分を理解せず、ただ死人と同じ寝方をすると縁起が悪いなどと言い出した。それどころかインドでは悪いとされる方角に頭を向けて寝たりもする。
こんなバカなことをするのは日本人だけです。ちなみに本来的には「縁起」にいいも悪いもありませんがそれについての解説は避けます。
とまあ、この例に限らず日本人というのは一事が万事上辺だけなのです。
ワインについてもそんな話がいっぱいあります。
正しいワイングラスの持ち方は?
例えばワイングラスの持ち方。
ワイングラスはワインを注ぐ部分の「ボウル」と、細長い脚の部分「ステム」に分かれていますが、日本人の多くはステムの部分を持ってワインを飲むのが正しいと思っています。
実際ステムの部分を持って飲むのは飲みにくいもの。飲みにくいのになぜ頑なにそれをしているのかといえば、それが正しいと思い込んでいるから。
でも、本来ワイングラスはボウルの部分を持って飲むもの。マナー云々以前に常識的に考えてそのほうが飲みやすいです。
わざわざやりにくい方法を正しいマナーだと思って行うというのは、洋食でフォークの背を使ってライスを食べる方法にも通じています。
そもそも西洋に「主食として皿に盛られた白米の食べ方のマナー」なんてありません。あれは、明治時代に外国人がマッシュポテトをフォークの背に押し付けて食べていたのをパクって作られたやり方だと言われています。
でも、そんなことせずに普通にすくって食べたほうが食べやすいし、スマートで見た目的にもきれい。マナーというのは相手に不快感を与えないのが基本。
フォークの背にわざわざナイフでライスを寄せてぼろぼろこぼしながら食べるほうが見苦しいもの。
どうしてステムを持って飲みにくさに我慢しながら飲むのか?実はステムを持つというのはソムリエのやり方。
ソムリエがワインの品質をチェックするときは、ボウルの部分を持つと色がよく見えません。だからステムを持って色を確認し、香りを確かめるのです。
プロが仕事をするときの動作を、単にワインを味わうときに真似するのは愚かなことです。
正しいワインの「注がれ方」は?
さて、ワイングラスに正しい持ち方があるように、ワインを注いでもらうときのも正しいマナーがあります。といってもなにも難しいことはありません。グラスをテーブルに置いて注いでもらうだけです。
日本人はお酒をついでもらうときに自分から盃を持って「へへえ」と恐縮するふりをして迎えに行きます。
これが日本酒の席ならばこれはマナー違反ではありません。日本人はこの延長でビールでも同じことをしますが、国内であればそれはギリギリ許容されるでしょう。
しかし、ワインを注いでもらうときは手を出してはいけません。そもそも注ぐ方からしたら、グラスは置いてあったほうが安定していて注ぎやすいに決まっています。
また、注がれたらボトルを相手から奪い取って相手に注ぐのもマナー違反。
まず、ソムリエやサーブ係がいるようなレストランでは基本的におまかせしておけばいいわけですが、そうした人がいないレストラン、もしくはホームパーティーなどでは、ワインを注ぐのはホストの仕事になります。ボトルを奪うのはホストの仕事を奪う失礼な行為です。
オリンピック誘致のプレゼンテーションでの滝川クリステルさんの「o・mo・te・na・shi」パフォーマンス以来、日本人はやたらと「おもてなし」をまるで日本にしか無い風習であるかのように強調します。
しかし、大部分の日本人は「もてなされ方」がなっていません。
もてなされるときは、無駄な「おもてなし返し」などしようとせずに、きちんともてなされるのもマナーです。
文化を学ぶなら上辺ではなくその精神を学ぶようにするべきですね。