フレンチレストランでワインを頼む時はお店任せにするのが失敗しないコツ
最近はあまり見ませんが、ちょっと古めの映画やドラマでよく見た光景。高級でちょっと薄暗いおフランス料理店の二人がけテーブルに向かい合わせに座る男女。ホストの男性のグラスにソムリエがワインを注ぎ、それを口に含んでおもむろに頷く。
まあ、多少ワインがブームになったころに散々言われたことですが、そもそもレストランでソムリエが持ってくるワインは、料理に合うように選ばれたものなので、客側はそれを確認させてもらうだけなんですよね。それに、一度開けたボトルは買い取りになるので、普通は気に入らないから別のにしろなんてこと言わないんです。
これは、かつて商品が酢になっていないかとか、悪くなっていないかを確認するという意味で行われていた行為です。だから、まともな店でまともに管理されている商品ならそもそも確認もする必要ないんですよね。
ただ、とはいえそんないわば「儀式」にも作法があります。まず、注いでもらうときは宴会で「おっとっと」とお酒を注いでもらう時のように自分からグラスを持ち上げてソムリエさんのほうに持って行かないこと。グラスはテーブルに置いたままにして、ワインが注がれてから持ち上げます。
よく、ブランデーグラスと勘違いして、指の間にワイングラスの足を挟み、グラスの底を手のひらに乗せてしまう人がいますが、ワイングラスは足を持ちます。色を見て、香りを嗅ぎ、少量だけ口に含んで味を見ます。グラスを回すのは空気と触れさせるためです。しかしまあ、ただの通り一遍の儀式にそこまでかっこつける必要はないでしょう。口に含んでから空気を吸い込むのは生産者やソムリエが品質を確かめるための方法です。客がレストランでやってもバカみたいで、知ったかぶりのやつと思われるだけなのでやめましょう。
さて、本当にワインやフランス料理に詳しいというのでなければ、ワイン選びはおまかせにするほうがスマートです。ソムリエがいるようなお店ならもちろんソムリエさんに、ソムリエがいない店ならお店の人にお願いして選んで貰えばいいのです。いくつか候補があるときは、かっこつけずに予算を伝えます。それなりの店ならちゃんとその日の料理や客の要望に応えてくれます。
逆に「俺のフレンチ」のような店なら、いちいち料理に合わせるとかそんなことを気にせずに、自分の好きなものを選べばいいと思います。
ボトルで注文してお連れさんに注いであげるような時は、グラスになみなみと注いだりせずグラスの1/3程度までにとどめておきます。
なお、下戸の人はお酒が飲めないときっぱり伝えておけば無理にワインを頼む必要もなくなります。日本には下戸お断りなどというバカみたいなレストランも存在するとのことですが、本場フランスであれば宗教的に飲酒できないムスリムの客もいるわけですから、酒が飲めないなら来るななどという愚かなことを主張する店はありません。
食事は畢竟客が楽しむもの。お酒はそれを引き立てるものに過ぎません。だからお酒が飲めない人が無理をして、せっかくの楽しい食事の時間を損なう必要はないのです。