赤ワインの香り成分「ジアセチル」は中年のおっさんの匂い?

ワインという飲み物は様々な要素でできています。甘み、酸味、渋みなど複雑な味わいを織りなす成分はもちろんのこと、透明感のある色の成分、ワイン独特の香りを生み出す成分なども重要。

赤ワインの香りの成分は「ジアセチル」という有機化合物。ジアセチルはワインを熟成している間に乳酸菌によって作られています。

サッポロビールホールディングスとサッポロビールは、赤ワインの色を担っている色素「アントシアニン」が、ジアセチルの量を高めているという研究結果を発表しました。

ちなみにサッポロビールホールディングスは海外展開や飲食事業、食品事業その他全てを統括する会社で、サッポロビールはその子会社の国内酒類事業を担当する会社のようです。

この研究では、アントシアニンがワインのアルコール発酵を行っている酵母に含まれるジアセチルを作らせる遺伝子「BDH1」に働きかけ、ワインの中にジアセチルを増やしていることがわかったといいます。

アントシアニンは一種類の物質ではなく、植物に含まれる赤、青、紫などの天然色素の総称。アントシアニンの色はpHによっても変化し、赤ワインが赤いのは弱酸性だから。

今回、そうしたアントシアニンの種類によっても、ジアセチルを作らせる力が違うことが発見されました。

ジアセチルを増やすのは「マルビジン-3-グルコシド」というアントシアニンであるとのこと。

マルビジン-3-グルコシドは、黒ぶどうの他に日本にも帰化している欧州原産の植物「ルリハコベ」の花の色も作っています。

こうしてこの研究だけ見ていくと、ジアセチルが増えると香りもよくなると思えてしまいます。ところが、調べてみるとそう単純な話でもないようです。

例えば日本酒では、醸造途中で「火落ち菌」などが混入して発酵が失敗すると異臭が発生しますが、この異臭の成分もジアセチル。

また、男性用化粧品メーカーのマンダムは、30代から40代の男性に多い汗臭さを「ミドル脂臭」と名付け、その原因物質がジアセチルであることを突き止めました。

つまり、ジアセチルは「濃いと臭い」らしく、いろいろな情報を総合すると、「ちょっと酸っぱい蒸れた匂い」になるようです。

ただ、ワインの場合は他にぶどう時代に含まれる香り成分や発酵の時点で発生する香りなど様々な香り成分を持ちます。

アントシアニンもまた香り成分の要素があり、そのような複雑な成分の中にジアセチルが適度に交じると、香りが高まるのでしょう。

ジアセチルは酢の醸造でも発生。日本の酢ではジアセチルが発生すると失敗となりますが、欧米や中国では逆にジアセチルが多い酢が好まれます。

これは香りに対する許容量が狭く、単調な料理を好む日本人と、スパイスや調味料などの複雑な組み合わせによる味わいを好む欧米人、中国人との好みの違いでしょう。

ジアセチルが作る香りは、肉料理に合うと言われており、また欧州の本格的なチーズの香りもジアセチルが元になっています。

サッポロビールでは、この研究結果をワイン製造に応用していくとしています。

しかし日本人にジアセチルが生み出す香りを不快に感じる人が多いのは確かなことですから、国内向け商品では、ジアセチルを増やさない方向にしたほうが一般受けするのではないでしょうか?

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