ワインの頒布会から届いたシュワルツ・カッツがキューピットに
昔、まだ若くてアルコールの世界にちょっと足を踏み入れたばかりの頃のことです。ワインをいろいろ知りたいなーと思って、「世界のワイン頒布会」というのに入ったことがあります。もちろん、ワインについてはな~んにも分からない私。お任せコースに入りました。
軽くて飲みやすいピノ・ノワール、タンニンが多くてどっしりとした風味のカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインのシャルドネなど、ワインのいろはを説明するパンフレットが、送られてくるボトルに添えられていて、入門コースの私にはぴったりの頒布会でした。
毎月、受け取るのがとても楽しみでした。
ある時、その中にドイツワイン、ツェラーのシュワルツ・カッツが入っていました。かわいらしいクロネコがラベルに描かれている、有名なワインです。
ちょうどそのころ、仕事でも駆け出しの私は、会社が始めたあるプロジェクトに配属されて上司や先輩の方々の頑張りを見ていましたが、何の戦力にもなれません。そんな自分にもどかしさを感じていた時、ふと、尊敬する上司がネコ好きで、野良ちゃんが寄ってくるとたまらず拾い上げて家に連れて行くのだという話を耳にしました。
何の気なしに、全く深くは考えず、ワインの頒布会で届いたシュワルツ・カッツを、会社に持っていって、その上司の机の上にそっと置きました。徹夜に近い日々が続いている上司を、少しでも慰めたいと思ったのかもしれません。もちろん、上司はとっても喜んでくれました。
その上司が、何を隠そう、今の私の夫です。