中国最古のワイナリーがワインテーマパークを設立
筆者の記憶にあるかぎりだと、中国崩壊を予言した本が出始めたのは中国の経済発展が注目されるようになった2002年頃からだったと思います。
以来15年、毎年のように中国はもうすぐ崩壊する、いやすでに崩壊していると主張する本を目にします。
筆者が初めて読んだ本では2004年に中国が経済的に崩壊するはずだったのですが、どうなっているのでしょうか?
その後何冊かのその手の本を読みましたが、どうも彼らは反中意識からそうなってほしいという願望を書いているのに過ぎないと気づいてからは読んでいません。
最近ではちょっと落ち着いてきた「爆買い」が最も注目されていた頃、日本ではドラッグストアや家電量販店での中国人の買い物がマスコミで報じられていました。
しかし、日本に来ていた富裕層と言われていた人たちは、実際のところは中流レベル。本物の富裕層は自家用ジェットを買ったりといったレベルで、行くのも日本などではなく欧州やアメリカでした。
ワインに関しては、投機目的の銘柄買い占めや、ワイナリーの買収などが行われ、その成金っぷりが批判の目を受けていたもの。
まあ、日本人もバブルの頃にOLがフランスやイタリアでブランド品を買い漁ったり、企業が名画を買い漁ったりなどして批判されていたわけですから、喉元過ぎればなんとやらです。
しかし現在、中国におけるワインは富裕層の見栄やお遊びの道具から、文化として定着しつつあるという流れになっています。
例えば昨年フランスで行われたワインのテイスティング大会では、中国チームが優勝しました。成金でただ高いワインを買い漁っているだけの人にテイスティング能力はないでしょう。
中国東部沿岸で黄海に面する山東省は、ドイツ式の製法を受け継いだ青島ビールが有名ですが、実は中国最古のワイナリーも存在します。
張裕は1892年創業。東南アジアで財を成した華僑の張弼士氏は、清国からマレーシアのペナン駐在領事に任じられ、西洋の領事館のパーティーに参加することも多かったため、ワインにも親しんでいました。
ある時、山東省・煙台の気候がフランスのボルドーと似た気候であると知った張氏は、その地にワイナリー「張裕」を設立。張裕は現在では「世界10大ワイナリー」の一つにもなっています。
その張裕が地元煙台に設立したのが、ワインのテーマパーク「ワイン・シティ」。ワインは今後ますます中国で存在感を増していくでしょう。
反中はいいとして、中国を嫌うあまり現実から目をそらしていたら、いつの間にかワイン文化で中国にかなわなくなっていたなどということにもなりかねません。