おいしいワインを造る樽のお値段は?

ワインの造り手たちは、ブドウ汁を熟成させる樽にもこだわります。

主にフレッシュさを個性にするワインの造り手はステンレスタンクを使いますが、それ以外の造り手は基本的に樫の樽を使っています。

木材を使った樽の方が、ワインの中の成分バランスが安定し、味わいが落ち着くのです。

木材はわずかに通気性があるため、中のワインが空気に触れ、ポリフェノール類が緩やかに酸化されます。不安定で他の成分と結びつきやすいポリフェノール類が、重合または沈殿することで、徐々にワインの味が安定していくのです。

また、ワインの酸化は他の香気成分にも良い影響があり、風味が複雑化し、赤ワインの色調が安定化する働きもあります。

木材のタンニンが樽から溶出してゆくことも、ワインの味わいに寄与する大事な要素です。タンニンには他のワイン成分と結合することで、澱として沈殿させてゆき、ワインの清澄化を促進するといった効果も期待できます。

ワインの樽は、フランス産、スロヴェニア産、アメリカ産、ロシア産などがあり、お値段は1樽あたり5~10万円程度です。

いずれも、まっすぐの木材を火であぶり曲げながら造ってゆきます。ローストされる事によって木材の香りがワインに移り、風味が豊かになるのです。

これを「樽香」とも言い、ローストの強さによって香りの種類や質が異なってゆきます。

新樽を使用すると、樽香が強くなり、古くなるにしたがってだんだんと樽香は弱くなってゆきます。そのため、基本的にワイン樽の寿命は3~10年と言われ、数回使っただけで廃棄される樽もあるのです。

ワインを樽に移す際に、樽の殺菌と、ワインへの二酸化硫黄添加のために、内側を湿らせた樽の中で硫黄を燻蒸することがあります。

さらに樽の中で熟成している間も、ワインが目減りしてゆくため、ワインの補填(ウイヤージュ)が随時行われてゆきます。

普通は樽を移し替えて定期的に澱引きを行いますが、ワインの味わいをまろやかにするために、たくさんの澱とともに熟成させる場合には、樽内を撹拌(バトナージュ)することもあります。

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