南フランス地方のロゼワインと黒ワイン
南フランスで造られるワインは、かつては質より量のワイン造りが盛んで、格付けも多くは4階級のうち下から2番目のヴァン・ド・ペイ、または一番下のヴァン・ド・タープルでした。しかし、最近では品質の向上にともなって、AOCとして独立する地域が続々と増えています。
そんな南フランスのAOCの中で、最も広い地区はラングドックとルーシヨンです。乾燥した晴れの日が多い地中海性気候となっており、カビなど微生物に由来する病気が少なく、ブドウ栽培がしやすい土地です。
また、ヴァン・ド・ペイは使用品種などがワイン法によって指定されていないため、甘口の酒精強化ワイン、ヴァン・ドゥー・ナチュレルなど、コストパフォーマンスの高いワインを生産者がAOCの規定に縛られず自由に造り、個性的で非常に質が高いワインが各地で造られています。
中でも有名なのは、フランス南東部のプロヴァンス地区のロゼワイン。
フランスではロゼワインと言えばプロヴァンス産、バカンスに海辺で飲むワイン、というイメージが定着しています。
最近ではロゼは観光客向けだけではなく、普通のカフェやレストランでの需要も増えています。
また、フランス南西部では、ボルドーに似たタイプのワインや、地場品種(その土地で生まれた固有品種)から造る個性的なワインなどが造られています。
多くはヴァン・ド・ペイに分類され、カオール地区やマディラン地区では固有品種から「黒ワイン」とも呼ばれる非常に濃厚なワインを造っています。
これらの地方のヴァン・ド・ペイは、非常にコストパフォーマンスに優れており、ときにボルドーをしのぐほどの高品質なワインが生み出されています。