なぜワインに大きな価格差が生まれるの?
ワインと言えば、スーパーなどで手軽に購入できる一本数百円のものから、一本いくらか想像できないような高級品まで様々な価格帯のものが混在しています。
現在では「ロマネ・コンティ」が高級ワインの代名詞のようになっていますが、実は、歴史上で最も高値で取引されたワインは、1869年の「シャトー・ラフィット・ロートシルト」という、フランス=ボルドー五大シャトーの一つに数えられるワインでした。
これは2010年11月、イギリスの有名オークション会社「サザビーズ」が香港で開催したオークションで、一本約180万香港ドル(日本円で約1890万円)で落札されました。なぜこのような高額で取引されたのかというと、いくつかの要因がありますが、最も大きな要因は「ワインの価格が世界経済の影響を強く受ける」という背景があるからです。
当時、贈答品や接待に用いるワインとして、景気が好調な中国本土や香港の富裕層に大人気の銘柄でした。このような例を除き、そもそも、ワインの価格差はなぜ、どのように生まれるのでしょうか。順を追ってその原因を探ってみましょう。
まず、第一に「製造コスト」の違いがあります。
ワインというのは、原料の「ブドウ」だけで出来ています。そのため、ブドウの価格、つまりは「ブドウが栽培される土地の値段」「人件費」「熟成樽」の値段によってワインの価格差が生まれます。
例えば、使用するボトルやコルクだけを見ても、ワインの種類によって様々な違いがあります。出荷してすぐに飲むことが想定されているワインには、出荷後の「熟成」が必要ないため、熟成時に発生した澱を溜めておく窪みがボトルの底に必要ありません。コストのかからない、底が平らな瓶を使用できるのです。
また、コルクのかわりに、スクリューキャップと呼ばれる清涼飲料水にも使われているキャップを使うことも出来ます。このような要因で、ワインに価格差が生まれることは容易に想像できますね。
次は、「製造コスト」以外について見てみましょう。
高級ワインの代名詞となった「ロマネ・コンティ」は、世界中で愛される素晴らしいワインですが、年間生産本数が平均約6000本程度で他のワインに比べると格段に出荷本数が少なくなっています。そのため、当然のことながら「希少性」という付加価値がついてきます。
また「グラン・ヴァン」と呼ばれるワインは、熟成に長い時間を必要とする高級ワインのため、飲み頃、つまりは未来を見越して価格が決まるため「投機」の対象となり、価格が押し上げられてしまいます。このように、「製造コスト」と「付加価値」という点で、ワインの価格には大きな差が生まれているのですね。
ただ、ワイン愛好家としては、「投機目的」や「希少性」によって違和感を感じるほどに価格を吊り上げられているワインではなく、純粋に愛情をもって作り手が生み出した「ワイン」を楽しみたいところです。