ワイン選びの注意点、ワインは高くなければ駄目、というのは大ウソ!

スーパーに行くと、様々な種類や値段の外国産ワインがずらっと並んでいます。その中で、チリ産やアルゼンチン産のワインがあれば、注意してみてください、同じ値段のワインと比較しても品質がいい事があります。

じつはこの両国は、日本への輸入品に関税がかからない為、他の輸入ワインに比べて、高めのワインが割安で売られている場合があるのです。

このように、高いワインでなければ美味しくない、というのは迷信で、私たちがワインを選ぶときに、まず当てにしてはならないのが、実はワインの価格だったりします。

スーパーのワインだけでなく、最高級ワインにとても分かりやすい例があるので、いくつか挙げてみましょう。

たとえば、赤ワインの傑作「コート・ロティ」。鮮やかな赤色に、頭がくらくらするくらい高い芳香を持っており、ボルドーやブルゴーニュの一流品に堂々と太刀打ちできる名酒。

このワインは、区画畑によっても、また作り手によっても評価の差が大きく違ってきます。

この「コート・ロティ」を、十数年前にギガルという会社が造ったところ、1本20万円という値段に跳ね上がりました。

バラエティ番組の影響で、高級ワインと言えばそんなもんか、みたいなイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、これはいくらなんでも異常な値段です。同じ品質の超高級ワインが、何本も買えてしまうような値段なのです。

どうしてこんな途方もない価格がついたのかというと、どうやら事の発端はロバート・パーカーというワイン評論家として有名な人物が、その著書の中でギガルのコート・ロティを絶賛した、というだけだったらしいのです。

これがきっかけで売れてしまい、希少価値が高くなり、さらに稀少な年代物は高値で取り引きされるようになった、という事なのです。

もう一つの例が、シャトー・「ペトリュス」。ボルドーのポムロール村で生産される、フランス最高級赤ワインのひとつとして知られています。

「ロマネ・コンティ」と並んで「価格の高い」ワインのひとつとされ、年代物で1本10万円超という値段がついています。

こちらも極めて高い値段ですが、これも最初から品質に見合った値段がつけられたワインではありません。

最初から、ムエックス社の前当主が、超高価でないと売らないという販売策を取っていたのです。

とにかく高値で販売をはじめたところ、そこにうまくアメリカの億万長者の間で高級ワインブームが起こり、1960年以降になって、あっという間にペトリュスがワイン界のスターダムにのしあがったのです。

こうして何かがきっかけで買い手が多くつくと、ワインの希少価値が高くなり、価格がどんどん上がってゆきます。

これらの最高級ワインも、味そのものについてのワイン評論家の間の評価は、ずいぶん分かれてしまいます。

そして、価格で有名なワインといえば、「ロマネ・コンティ」です。

これが名実共に、フランスの最高級ワインである事は、誰もが認める所でしょう。価格も、これ1本でレストランのフルコースに、他の最高級ワインが1本ついてくる勢いです。

しかしながら、日本で売られているこのような値段については、首を傾げざるを得ません。

なぜなら、同じ最高級ワインの格を持つはずの、ボルドーの「シャトー・ラフィット」を見ると、ぐっと値段が下がって、少し懐の緩いときならば、私たちにも簡単に手が出せるくらいなのです。

実は、この価格の違いは、ワインの質よりも、ほとんどが量の差によって決まったものなのです。

ロマネ・コンティのぶどう農園は1.8ヘクタール、年間6000本くらいしか生産できません。対して、ラフィットは94ヘクタールもあり、年間24万本も生産できるのです。

ロマネ・コンティがここまで高値になったのは、もともと生産量が少なく稀少だったからというのは、誰もが認める事実です。

逆にラフィットは大量に手に入るから、同格でも安く手に入るのです。

このように、ワインの市場価格は生産量、ブームによる消費量、希少価値、税金などにも左右されるため、必ずしもその品質を計るために有効な物差しにはなりません。

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