ワインを合わせたいなら西洋料理を食べればいいのでは?
お酒というのはその国の気候風土、歴史、民族性、様々なものが重なりあって生み出された、その民族を象徴するような伝統文化でもあります。そして、それぞれの国のお酒が一番合うのは、そのお酒が生み出された国の料理であるのは当然のことです。
しばらく前から和食にワインを合わせるというようなことが行われており、甚だしくは寿司屋でワインを提供するというところもあります。結局は好みの問題なので、好きならべつにいいのですが、あくまで私個人の意見ということで言えばバカバカしいことだと思います。
日本には日本酒という世界に誇れるすばらしいお酒があるのだから、和食には日本酒の中から合う銘柄を探せばいいでしょう。ご飯に合う料理であれば、必ず日本酒にも合いますから、どのワインを合わせるかなどということに頭を悩ませる必要もありません。
一方ワインというのも非常に古い伝統を持つお酒です。遅くとも紀元前8千年前には、カスピ海沿岸でブドウの醸造酒が飲まれており、今で言う中東から欧州へと伝わりました。その後、飲酒を禁じるイスラームが広まったことで中東地区ではワイン製造は廃れ、イタリア、フランス、スペインなどでワイン醸造技術が高まっていくことになります。
ということは、赤・白はひとまず置くとして、ワインが最も合うのはイタリア、フランス、スペインあたりの料理だということになります。それぞれの国にはいろいろなワインと料理がありますから、産地と料理の傾向によって合わせるワインを選んでいけばいいわけで、そこから先は好みによります。
ワインの名産地はチーズの名産地でもあるので、好みのワインに合わせてチーズを選んでみるのもいいかもしれません。
本格的な西洋料理でなくとも、日本には西洋料理を日本人の口に合わせた「洋食」というジャンルがあります。洋食ならば合うワインもあるでしょう。しかし、日本人に合わせた味ならば、合わせるのは国産の山梨ワインなどが一番ではないかと思います。
もっとも、そういう合うか合わないかよりも、「日本料理にワインを合わせる」というオシャレっぽさに自己満足したいならお好きにどうぞという感じです。まあ、それでも思考停止してなんにでも「とりあえずビールで」とやりだすよりはマシかもしれません。