なぜ多くのシャンパンには年号が書かれていないのか?
シャンパンのエチケットには、年号が記されていない場合がほとんどです。これらをノン・ヴィンテージ(フランス語ではサン・ザネ、またはノン・ミレジメ)といい、日本では略して「ノンヴィン」という方もいらっしゃいます。
ブドウの生育には年間平均気温およそ9.5度が最低限必要とされていますが、シャンパーニュ地方はフランスにおけるワイン生産地の北限に位置しており、年間平均気温が約10.5度と低いため、毎年安定してブドウを育てるのがとても難しいのです。
そのため、「ドンペリ」でおなじみの有名シャンパン、ドン・ペリニヨン生み出した修道士であるドン・ペリニヨンが、収穫したブドウを年別、畑別、品種別に分けてワインを造り、これらを調合(アサンブラージュ)して品質を一定に保つ製造法を考え出しました。
この手法は、今ではシャンパン製造にとても重要な工程のひとつとなっています。
シャンパンの多くはノン・ヴィンテージ・シャンパンで、製造年以前に造られたリザーブドワインと調合して造られていますが、ブドウの良年には同じ年に収穫されたブドウのみで造られることもあります。この場合に限ってはエチケットにヴィンテージが記載されるようになっています。
ただし、一般的にシャンパーニュ地方にとって素晴らしい年とされている年でも、ブドウの評価というのは造り手の考え方しだいのため、ノン・ヴィンテージしか生産しない場合もあります。
良い年のブドウの価格は普段のブドウの価格よりも値が張るため、ノン・ヴィンテージのシャンパンよりも、ヴィンテージものの方が高価となっています。
また、良年のなかでも、さらに卓越した年にしかシャンパンを造らないメゾンで有名な「サロン(Salon)」は、なんと100年間にたったの30数回しかリリースをしていません。
シャンパンを愛する人たちの中には、最低でも8年もの間瓶熟成をさせてからしか出荷しない「サロン(Salon)」をデキャンタし、チューリップ型のグラスで愉しむ、という強者もいます。