古いヴィンテージ・シャンパーニュの価値、素人でもわかるものなんですか?

ワインの中で最もクリエイティブ。それがシャンパーニュの特徴と言えるでしょう。これは醸造をする過程において、人が関わる部分が多く、造る人のアイディアや感性により、自在に風味や味を変える事ができるからです。

「気泡のあるワインを造った」というのは、ドン・ぺリニョンの功績の一つですが、それ以上にワイン(ブドウ)のブレンドを行ったことこそ、最大の功績だと言えます。

品種、醸造方法、熟成度合い、年代、それぞれ違う様々な種類のワインをブレンドし、それに瓶内発酵で炭酸を生み出し、ドサージュと呼ばれるリキュールを加える。これが現在のシャンパーニュの製造法です。

泡があるのがシャンパーニュの特徴ですので、瓶内の二次発酵こそすべて、という印象があるかもしれませんが、発泡させる前のワインの調合(アッサンブラージュ)と、発泡させた後のドサージュにより、造り手やメーカーの個性がはっきりと出てくるものなのです。そういうところはカクテルと似ているでしょう。

ヴィンテージ・シャンパーニュというのはある意味、傍流と言えるかもしれません。しかしヴィンテージ・シャンパーニュは、毎年造られる訳では無く、その年のブドウだけでもバランスがとれるような年しか造られず、瓶詰め後時間を置かず炭酸ガスを発生させますので、とても新鮮な状態で瓶詰めされています。

瓶詰めされて後、ヴィンテージ・シャンパーニュは炭酸に接した還元状態の熟成となりますので、様々な年代のワインを調合したノン・ヴィンテージの方が、複雑性(酸化熟成した要素など)をより多く含んでいることとなります。

そして最後のドサージュの際に、シャンパーニュは古いワインを使って香りをつけたりしますが、一般的にはリザーワインを用いるのをブリュット(辛口)・ノン・ヴィンテージのものより控えます。年号の個性を重視するために。

つまりシャンパーニュの方が純粋な仕上がりになるのです。各々のメーカーでヴィンテージ・シャンパーニュと標準タイプのブリュット・ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュを飲み比べてみると、標準タイプの方がバランスのよいまろやかな感じがすることでしょう。

あるメーカーでは、プレステージュのヴィンテージ・シャンパーニュの一部について、澱引きをしないで、シャンパーニュを澱に触れた状態で、瓶を上下逆にして、瓶内の気体が上部になった瓶の底にある状態、要するに酸素と結合しない状態にして、長い時は20年以上も熟成させます。

標準的な白ワインでは、熟成させる時間が長くなると、酸化がかなり進み、香りがシェリーのようになるのですが、シャンパーニュの場合は酸化がほとんどなく、還元状態のままゆっくりと熟成が進んでいきます。

それでいて気泡レベル、つまり気圧が下がることにより上質な白ワインに近づいていきますから、他のモノとは異なる独特な飲み物と言えるでしょう。

ワインの中で長持ちするのも、シャンパーニュの特徴です。ただし出荷した後の場合は、糖分が加わり、熟成途上で生み出されるアミノ酸等と化合して、醤油に似た風味を出すことがあるので、出来るだけ早く飲酒することをお勧めします(ヴィンテージシャンパーニュの高品質のモノはそのような心配がないことを付け加えておきます)。

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